Windows 11は標準でもゲーム向けに最適化されていますが、設定を見直すだけでFPS(フレームレート)が大きく向上したり、カクつきや入力遅延が減ったりします。
この記事では、「安全にできる基本設定」→「効果大だが注意が必要な設定」→「ハードウェア・ゲーム内設定」の順で、実際に効果が報告されている項目に絞って解説します。
結論:まずはこの5つをやればOK
細かい説明はあとで読むとして、時間がない人は以下だけ先にやるのがおすすめです。
- Game Mode(ゲームモード)をオンにする
- 電源プランを「高パフォーマンス」または「最適なパフォーマンス」にする
- グラフィックス設定で「ハードウェア アクセラレータによるGPUスケジューリング(HAGS)」をオンにしてみる(合わなければオフに戻す)
- 「ウィンドウ ゲームの最適化」「可変リフレッシュレート(VRR)」をオンにする
- GPUドライバーとWindows Updateを最新にする
これだけでも、CPUボトルネックの軽減や1% Low FPS改善(カクつき減少)が期待できます。
1. Game Mode(ゲームモード)を有効にする
Windows 11の「ゲームモード」は、ゲーム中にバックグラウンド処理を抑え、CPUリソースをゲーム優先にする機能です。
【設定方法】
キーボードの Win + I で「設定」を開く
左メニューから 「ゲーム」 を選択
「ゲーム モード」 をクリック
「ゲーム モード」スイッチをオン
ゲームモードは標準でONになっていることもありますが、一度確認しておく価値があります。
環境によってはオフのほうが安定するケースもあるため、FPS計測ツールなどでオン/オフを比較してみると良いです。
2. 電源プラン・電源モードを「高パフォーマンス」にする
Windows 11は省電力寄りの「バランス」設定が標準になっていることが多く、CPUクロックが上がり切らずFPSが伸びない原因になります。
【電源モードの変更(設定アプリ)】
設定 → システム → 電源 & バッテリー(または「電源」)
「電源モード」から
- デスクトップ:「最適なパフォーマンス」や「高パフォーマンス」系を選択
- ノートPC:ACアダプタ接続時だけ高パフォーマンスにするのがおすすめ
【旧コントロールパネルから「高パフォーマンス」プランを選ぶ】
Win + R を押して powercfg.cpl と入力して実行
「電源オプション」が開くので、
- 「高パフォーマンス」 または 「究極のパフォーマンス」 があれば選択
- 表示されていない場合は「追加のプランを表示」をクリック
CPUが常に高めのクロックで動くようになり、フレームレートの安定性(最低FPSや1% Low)が向上しやすくなります。
3. GPU関連設定:HAGS・ウィンドウゲーム最適化・VRR
Windows 11の「グラフィックス」周りの設定は、FPSと入力遅延に直結する重要ポイントです。
3-1. 「ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング(HAGS)」
HAGSは、従来CPU側で行っていたGPUスケジューリング処理をGPU側にオフロードして、レイテンシ低減やFPS向上を狙う機能です。
ただし、VRAM使用量が増える(最大1GB程度)ため、VRAM 8GB以下の環境では逆にカクつきが出る場合もあると報告されています。
【設定方法】
設定 → システム → ディスプレイ
下部の 「グラフィック」 をクリック
「既定のグラフィックス設定を変更」 を開く
「ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング」 をオン
PCを再起動
有効化後、一部のゲームで平均FPSや1% Low FPSが1〜数%向上したという検証が多数ありますが、「カクつき」「描画の不具合」などが出た場合は、同じ手順でオフに戻してください。
3-2. 「ウィンドウ ゲームの最適化」
Windowed / Borderlessモードのゲームを、独占フルスクリーンに近い描画パスに切り替えてレイテンシとパフォーマンスを改善する機能です。
【設定方法】
設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック
「既定のグラフィックス設定を変更」 を開く
「ウィンドウ ゲームの最適化」 をオン
特に、ボーダーレスフルスクリーンでプレイする人は効果を感じやすいとされています。
3-3. 可変リフレッシュレート(VRR)
対応モニターを使っている場合、「可変リフレッシュレート(VRR)」をオンにすると、ティアリング(画面のズレ)やスタッターを抑え、体感のなめらかさを改善できます。
【設定方法】
設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック
「既定のグラフィックス設定を変更」 を開く
「可変リフレッシュ レート」 をオン
4. ゲームごとに「高パフォーマンスGPU」を割り当てる
ノートPCなどで内蔵GPU+外部GPUのデュアル構成の場合、ゲームが誤って内蔵GPUで動作しているとFPSが大きく低下します。
【設定方法】
設定 → システム → ディスプレイ → グラフィック
「デスクトップ アプリ」または「Microsoft Store アプリ」から対象のゲームを追加
ゲームタイトルをクリックし 「オプション」 を選択
「高パフォーマンス」(通常は外部GPU)を選んで保存
これにより、常にdGPUでゲームを動かせるようになり、特にノートPCでのFPS低下を防げます。
5. ドライバーとWindows Updateを最新に保つ
FPS改善で意外と効くのが、GPUドライバーとWindows Updateの更新です。
NVIDIA / AMD は、新作ゲームに合わせてパフォーマンス最適化ドライバーを頻繁にリリースしています。
Windows 11自体も、ゲーム関連機能(HAGSやウィンドウゲーミング最適化など)の改善アップデートを継続しています。
特に大きなゲームアップデートや新作タイトルをプレイする前は、一度確認しておくと安定度が変わります。
6. セキュリティ機能(VBS / メモリ整合性 / 仮想マシンプラットフォーム)を調整する
ここからは**「FPSは上がりやすいが、セキュリティとのトレードオフがある」**項目です。
扱いを誤るとセキュリティリスクが上がるため、自己責任 & PCの用途を考えた上で判断してください。
代表的なものは以下です。
- コア分離(Core Isolation)の「メモリ整合性」
- Virtualization-Based Security(VBS)関連機能
- Virtual Machine Platform(仮想マシンプラットフォーム)
これらをオフにすると、CPU負荷が軽くなり、約数%〜5%程度のFPS向上が得られるケースが報告されています。
【メモリ整合性(Memory Integrity)をオフにする手順の一例】
スタートメニューから 「Windows セキュリティ」 を検索して開く
「デバイス セキュリティ」 → 「コア分離の詳細」
「メモリ整合性」スイッチをオフ
PCを再起動
ただし、Microsoft自身も「ゲームのパフォーマンスが大きく落ちる場合のみオフを検討する」と案内しており、普段使いまで含めた総合的なセキュリティを考えると、ゲーム以外の時間はオンに戻すのがおすすめです。
7. 不要なバックグラウンドアプリ・スタートアップを減らす
高FPSを維持するには、バックグラウンドで常駐するアプリを減らすことも重要です。
- 常駐型ランチャー(ゲームプラットフォームやメッセンジャーの一部)
- 常に起動しているクラウド同期アプリ
- RGB制御ツールやオーバーレイツール(必要最小限に)
【スタートアップの整理】
Ctrl + Shift + Esc でタスクマネージャーを開く
左のメニューから 「スタートアップ アプリ」 を選択
ゲームと関係ないものなど、最低限必要なもの以外を 「無効」 にしておく
バックグラウンド負荷を下げることで、CPUのスパイクによる一瞬のカクつきや入力遅延の改善が期待できます。
8. ストレージ周り:SSD/空き容量/一時ファイル
FPSそのものよりもロード時間やプチフリーズに効くのがストレージまわりの最適化です。
- ゲームは可能な限り SSD(できればNVMe) にインストール
- システムドライブ(C:)は常に20%以上の空き容量を確保
- 一時ファイルや不要ファイルは定期的にクリーンアップ
【「記憶域センサー」や「ディスククリーンアップ」を活用】
設定 → システム → 記憶域
「ストレージセンサー」をオンにし、定期的な自動クリーンアップを設定
ロード時間の短縮や、マップ切り替え時などの一瞬の固まりを軽減できます。
9. ディスプレイ設定:リフレッシュレートと解像度
FPSを上げる(=描画負荷を軽くする)という観点では、解像度と描画設定の見直しが非常に効果的です。
9-1. モニターのリフレッシュレートを正しく設定
モニターが144Hzや240Hz対応でも、Windows側が60Hz設定のままということがあります。
【設定方法】
設定 → システム → ディスプレイ
「詳細ディスプレイ設定」から、「リフレッシュレート」をモニター最大値に変更
9-2. ゲーム内の描画設定を調整
- 解像度を少し下げる(例:4K → 1440p、1440p → 1080p)
- 影、反射、ポストプロセス系(モーションブラー、被写界深度など)を中〜低にする
- アンチエイリアスの種類を変えるか品質を下げる
多くの場合、「超」設定から「高」または「中」に下げるだけで、画質はそれほど変わらずFPSだけ大きく伸びることが多いです。
まとめ:安全なところから順番に試すのがポイント
Windows 11でFPSを上げるときは、次の順序で進めるとトラブルが少なく効率的です。
- ゲームモード・電源プラン・グラフィックス設定(HAGS/ウィンドウゲーム最適化/VRR)を整える
- GPUドライバーとWindows Updateを最新にする
- バックグラウンドアプリ・スタートアップを整理する
- 描画設定・解像度を調整して、画質とFPSのバランスを取る
- 必要に応じて、VBS/メモリ整合性などの高度な設定を検討する(必ずリスクを理解した上で)
一つひとつ変更したら、ベンチマークソフトやゲーム内FPS表示で効果を確認しながら進めると、「どの設定が自分の環境で効いたのか」が分かりやすくなり、無駄なリスクを避けられます。


















